読む前に。 この記事は日本で承認された添付文書(電子添文)にもとづく情報提供であり、主治医や薬剤師の指示、診断、救急受診に代わるものではありません。症状が心配なときにこのページで様子を見ないでください。リベルサス®は処方箋医薬品で、日本での効能又は効果は「2型糖尿病」です。飲み続けるか、やめるか、量を変えるかを決めるのは処方した医師です。

最初に結論

添付文書(2026年5月改訂・第6版)で最も頻度が高い副作用は悪心(吐き気)と下痢で、いずれも5%以上。次いで食欲減退、頭痛、便秘、嘔吐、腹部不快感などが1〜5%未満です。重大な副作用として挙げられているのは4つ——低血糖(頻度不明)、急性膵炎(0.1%)、胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸(頻度不明)、腸閉塞を含むイレウス(頻度不明)。一方、「死亡リスク」を警告する記載はなく、添付文書に「警告」欄そのものがありません。ただし禁忌(投与してはいけない場合)は明確に定められています。この記事は、その線引きを頻度と一緒に示します。

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「危険な薬」なのか——まず構造から

医療用医薬品の添付文書には、最も重大な注意を赤枠で示す「警告」欄が置かれることがあります。リベルサスの添付文書に警告欄はありません。 文書は「2. 禁忌」から始まります。

禁忌、つまり投与してはいけないとされているのは次の3つです。

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者(インスリン製剤による速やかな治療が必須)
  • 重症感染症、手術等の緊急の場合(インスリン製剤による血糖管理が望まれるため)

つまり「誰にとっても危険」でも「誰にとっても安全」でもなく、使ってはいけない状況が定義された処方薬です。自分がどこに当てはまるかの判定は、処方の時点で医師が行っています。

よくある副作用——頻度つきの一覧

添付文書の「その他の副作用」の表を、頻度帯ごとにまとめるとこうなります。

頻度 記載されている副作用
5%以上悪心、下痢
1〜5%未満食欲減退、頭痛、便秘、嘔吐、腹部不快感、腹痛、消化不良、上腹部痛、腹部膨満、胃食道逆流性疾患
0.5〜1%未満糖尿病網膜症、鼓腸、胃炎、おくび(げっぷ)、リパーゼ増加
頻度不明過敏症(発疹、じん麻疹等)、浮動性めまい、味覚異常、異常感覚、心拍数増加、胃排出遅延、胆石症、疲労、無力症、体重減少、血中カルシトニン増加、アミラーゼ増加

一覧を眺めると分かるとおり、中心は胃腸の症状です。「気持ち悪い」という検索が多いのは、この薬の副作用プロファイルそのものを反映しています。

気持ち悪さとどう付き合うか

まず、やってはいけないことから。吐き気がつらいからといって、自分の判断で錠剤を割る・量を減らす・やめる、はいずれも不可です。 分割・粉砕・かみ砕きは添付文書が禁じており(吸収の仕組み上の理由です——リベルサスの飲み方——30分ルールで詳しく書きました)、増減量の判断は医師のものです。また、本剤は消失半減期が長く、やめてもすぐには体から抜けません。添付文書は、投与中止後も効果が持続する可能性に留意するよう求めています。

次に、区別すべき症状があります。添付文書は「嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛」があらわれた場合、使用を中止し速やかに医師の診断を受けるよう指導することと書いています。これは急性膵炎の初期症状として挙げられているもので、「いつもの吐き気」とは扱いが違います。

さらに、下痢や嘔吐が続くときは脱水が問題になります。添付文書は、下痢・嘔吐等により脱水を続発し急性腎障害に至るおそれがあるため、患者の状態に注意することと書いています。飲食がとれない日が続くなら、それは我慢の対象ではなく受診の理由です。

「いつから・どの用量で・どのくらい」を言えるように。 副作用の相談で医師が最初に聞くのはこの3つです。Takelyは服用記録と体調メモを同じ画面に残すので、受診時に記憶から再構成しなくて済みます。ブラウザでTakelyを開く →

重大な副作用——4つと、そのサイン

添付文書の「重大な副作用」の項に挙げられているのは次の4つです。

低血糖(頻度不明)。 脱力感、倦怠感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常などが症状として列挙されています。特にインスリン製剤又はスルホニルウレア剤(SU剤)と併用した場合に重篤な低血糖があらわれ、意識消失に至った例も報告されています。併用薬がある人ほど、この項は他人事ではありません。低血糖を起こしやすい状態として、栄養不良、不規則な食事、激しい筋肉運動、過度のアルコール摂取なども挙げられています。

急性膵炎(0.1%)。 4つの中で唯一、頻度の数字が付いています。サインは前述の「嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛」。該当したら使用を中止して速やかに受診、膵炎と診断された場合は再投与しない、と定められています。

胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸(いずれも頻度不明)。 添付文書は、胆石症・胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるとし、腹痛等の腹部症状があらわれた場合には必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど適切に対応することとしています。

イレウス(頻度不明)。 腸閉塞を含みます。高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこととされています。「便秘がちょっと悪化した」と「お腹が張って痛くて吐く」の間には、受診の要否という線が引かれています。

「死亡」と検索されている件について

正面から答えます。添付文書に、死亡リスクを警告する記載はありません。 そのうえで、不安の源になりやすい記載が3つあるので、それぞれ何が書いてあり、何が書いていないかを示します。

甲状腺のがん。 皮下投与のセマグルチドを用いたラット及びマウスの2年間がん原性試験で、臨床用量に相当又は下回る用量で甲状腺C細胞腫瘍の発生頻度の増加が報告されています。ヒトでの関連は確立していませんが、甲状腺髄様癌の既往・家族歴のある患者、多発性内分泌腫瘍症2型の患者に対する安全性は確立していません。参考までに、米国の添付文書はこの論点を最上部の枠付き警告(Boxed Warning)として掲げていますが、日本の添付文書では「その他の注意」の位置に記載されています。同じデータ、異なる制度上の扱いです。投与中は甲状腺関連の症候の有無を確認し、異常があれば専門医を受診するよう求められています。

目の合併症。 2026年5月の改訂で追加された記載として、海外の複数の観察研究で、セマグルチド投与後に非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現リスクの上昇が報告されています。添付文書自身が「本剤との因果関係は明らかではない」と明記しています。また、急激な血糖コントロールの改善に伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪があらわれることがある、という注意もあります。視力・視野の変化は放置せず、眼科と主治医に伝えてください。

麻酔時の誤嚥。 GLP-1受容体作動薬を投与中の患者で、全身麻酔又は深い鎮静下で誤嚥が生じた症例が報告されています。本剤には胃内容排出遅延作用があり、リスクが高まるおそれがあるためです。手術や内視鏡検査の予定があるなら、リベルサスを飲んでいることを必ず事前に伝えてください。 これは怖がるための情報ではなく、伝えれば管理できる情報です。

すぐ受診すべきサイン——まとめ

  • 嘔吐を伴う、持続的な激しい腹痛(急性膵炎の初期症状として明記)
  • 冷汗・動悸・意識がもうろうとするなど、強い低血糖症状(特にインスリン・SU剤併用中)
  • 下痢・嘔吐が続いて水分がとれない(脱水→急性腎障害のおそれ)
  • 高度の便秘+腹部膨満+嘔吐(イレウスのサインとして明記)
  • 皮膚や白目が黄色い、右上腹部の痛み(胆道系の異常)
  • 急な視力・視野の変化

このリストは網羅ではありません。迷ったら、様子を見るより連絡する側に倒してください。

受診時に伝わる記録のかたち

副作用の診察は、実際にはこういう質問で進みます。「いつからですか」「毎日ですか、たまにですか」「用量が変わってからですか」「食事はとれていますか」。つらかった記憶はあっても、日付と用量の対応を思い出せる人はほとんどいません。

だから記録が効きます。服用した時刻と、その日の体調をひとことずつ。それだけで「7mgに上がった週から吐き気が毎朝になった」という医師がそのまま使える一文になります。Takelyの服用記録と体調メモは、このためにあります——飲んだ記録と体調メモが同じタイムラインに並ぶので、対応関係を後から探さなくて済みます。

よくある質問(FAQ)

リベルサスの副作用はいつまで続きますか。

添付文書に「いつまで」という期間の記載はありません。増量は4週間以上の間隔をあけて段階的に行うと定められており、体が慣れる時間を確保する設計です。症状が続く・強くなる場合の対応は、期間の一般論ではなく主治医との相談で決めてください。

一番多い副作用は何ですか。

添付文書上、頻度5%以上とされているのは悪心(吐き気)と下痢です。次の頻度帯(1〜5%未満)に食欲減退、頭痛、便秘、嘔吐、腹部不快感などが並びます。

やめればすぐ元に戻りますか。

セマグルチドは消失半減期が長く、添付文書は投与中止後も効果が持続する可能性に留意するよう求めています。中止の判断も、中止後の経過の見方も、主治医と決めることです。

リベルサスで死亡することはありますか。

添付文書に死亡リスクを警告する記載はありません。重大な副作用として低血糖、急性膵炎、胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸、イレウスが挙げられており、それぞれに受診・中止の基準が定められています。強い症状が出たときに受診を遅らせないことが、いちばん実効性のある安全策です。

甲状腺がんのリスクはありますか。

げっ歯類の試験で甲状腺C細胞腫瘍の増加が報告されており、ヒトでの関連は確立していません。甲状腺髄様癌の既往・家族歴、多発性内分泌腫瘍症2型では安全性が確立していないとされ、投与中に甲状腺関連の異常があれば専門医の受診が求められています。不安があれば、検索ではなく処方医に聞いてください。

食欲がなくなったのは副作用ですか。

食欲減退は副作用の表に記載があります(1〜5%未満)。食事がとれないほどであれば、低血糖や脱水の観点からも受診して伝えるべき症状です。逆に食欲が減らないことについては、リベルサスの効果はいつからで扱っています。

吐き気がつらいので、自分で量を減らしてもいいですか。

いけません。用量の増減は医師の判断であり、錠剤の分割・粉砕も禁じられています。つらさは我慢するものではなく、次の受診を待たずに電話で伝えてよい内容です。

出典

  1. PMDA 電子添文 — リベルサス錠3mg/7mg/14mg(2026年5月改訂・第6版) ↗
  2. PMDA 医療用医薬品 情報検索 — セマグルチド(遺伝子組換え)経口剤 製品情報ページ ↗
  3. DailyMed — 米国添付文書(経口セマグルチド錠、2026年1月改訂):枠付き警告の記載例として ↗
  4. Yamada Y, et al. Dose-response, efficacy, and safety of oral semaglutide monotherapy in Japanese patients with type 2 diabetes (PIONEER 9). Lancet Diabetes Endocrinol 2020;8(5):377–391. PMID 32333875 ↗30075-9)

添付文書は改訂されます。このページの記載は2026年8月11日時点の版で確認したものです。最新の内容と、ご自身の症状についての判断は、主治医または薬剤師にご確認ください。

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